空室は悪なのか

管理移管を検討しているオーナーから多く寄せられる声として、

「空室を早く埋めたい」「危機感を感じている」

というお声がございます。中には、

「空室を出さないで欲しい」

という方も。さてさて、今日のテーマはこの空室についてです。

(例)

2008年築、RC造4層、20戸、駅徒歩7分、駐車場5台スペース有り、戸あたり床平米33㎡(平均)、賃料5.0万前後

直近で多くの投資家の方が購入された、札幌で最も平均とも言えるスペックを例にしてみました。

■大前提として、そもそもの話「空室」はどこから空室なのか?というところから始めます。

1、前入居者退去完了後、新入居者からの賃料が発生するまでの「賃料を生んでいない状態」

2、前入居者退去完了後、新入居者から申し込みが入るまでの「ミックスパターン」

3、解約予告が前入居者から入り、新入居者から申し込みが入るまでの「入居未確定状態」

4、解約予告が前入居者から入り、新入居者から賃料が発生するまでの「ロングパターン」

大きく分類すると、上記の4点に分かれるでしょう。

※4は様々な点でメリットが薄いので、見かけたことはありませんが。

■次に、「空室率or稼働率」の問題です。率の出し方ですが、基本的には

年間実入居数÷(総戸数×12ヶ月)=年間稼働率です。例に当てはめてみて、95%(228戸)の年間稼働率を算出した場合、

228÷(20×12)=95%

上記のような形です。

まずは空室の1~4の考え、稼働率の計算をオーナーと管理会社で共有しておかないと、確実にズレは広がります。オーナーは1で考えていたけど、管理会社としては稼働率を上げて見せたいから最も非稼働を産まない2で設定…となると、ズレは大きく発生します。

■運用シミュレーションで必要な数値とは

弊社では3の空室計算で、ここ近年の年間運用平均値が92~95%のため、これを運用基準として据えています。20戸の場合、年間平均でおよそ3部屋~4部屋程度の退去が発生します。一部屋を3ヶ月間の空室期間が発生すると考え、4部屋退去の場合は年間12部屋が空室期間。そうなると、240-12で228部屋が実稼働となるので、95%という計算が成り立ちます。

(3ヶ月空室の発想に関しては、また別の機会にてお話します)

但し、20㎡前後の部屋の場合は退去理由のレンジが拡大する(手狭など)ので、同じ20部屋でも5部屋に増加させたり、戸数が増えた場合はより退去率が上昇するケースもあるので(不良入居者の発生等)、ケースに応じて変化させます。

また、運良く240戸が満室稼働したとしても、退去は等しく訪れます。100%稼働は一見よく見えますが、退去の繰り延べにしているだけに過ぎないケースもあるので、翌年90%まで落ち込むことも想定しておくべきでしょう。一気に退去が来たときはキャッシュフローだけではなく、精神が削られます…。

※自主管理などで、本当に根気よく入居者をグリップしている場合は別ですが。

■まとめ

さて、ここまでで一旦おまとめ致します。空室は悪ではなく、必ず訪れるものです。冒頭のように、空室を出さないで欲しい…という要望もお気持ちはわかりますが、それは「一年中風邪をひくな」と言っているようなもので、自然現象を止める力はありません。(そもそも転勤退去の方を引き止めるって、もはや不可能ですし)

大事なのは、風邪を引いた時(空室発生時)に、どれだけで回復出来るかを予測する事です。また、投薬(AD)の量も重要で、早く元の状態に復旧したいがために、常時劇薬投入(AD4)などを繰り返すと、市場の耐性もついてしまうため、状況に応じて上下させることがキーポイントです。

危機感は投資の重要ポイントではありますが、根拠の無い危機感は状況を悪化させるだけなので、そのときは運営と一体になって「根拠ある危機感」を構築しましょう。

※それだけでも、すごーくストレスが軽減出来ます…(笑)